近江牛の伝統を現代の視点で見つめなおす [ Science × Tradition ]

1. 伝統の妙薬

伝統の妙薬

近江牛は、最古のブランドでもありますし、過去のエピソードの中で養生薬「反本丸」としての認知もあり、牛肉の不思議な魅力が前から疑問に思うことがありました。今回良い機会を頂きましたので、専門家のサポートも頂きながら妙薬というキーワードを深耕してみたいと思っています。

妙薬として重んじられてきた牛肉

最上の薬“醍醐”

日本における牛と健康の歴史は古く、時代は平安時代にまでさかのぼります。
当時、貴族の間で乳汁を精錬して作った『酪』、それを煮つめた『酥』、さらに精製した『醍醐』というバターオイルのようなものが用いられ、仏教の教典には、「醍醐の妙薬は重病を治するがごとく(※三省堂 大辞林)」と記されており、当時から薬として重用されていたことが分かります。
また、深い味わいや本当の楽しみなどに接したときの『醍醐味(だいごみ)』も、ここに由来しています。

近江牛の味噌漬け

養生薬として密かに食された“反本丸”

江戸時代になると、「生類憐みの令」が出されましたが、唯一公式に牛の取り扱いが認められた彦根藩が、中国の薬学本「本草網目」からヒントに牛皮をとったあとの肉を用いて味噌漬けを考案しました。これを養生薬「反本丸(へんぽんがん)」と称して、密かに堪能されていました。

ばあちゃんの秘薬“牛黄(ごおう)”

ばあちゃんの思い出

ばあちゃんの思い出

「ごういん」と、うちの祖母は呼んでいました。小さいときに風邪をひいたり、熱がでたりすると、いつもこの「薬」をオブラートという薄い紙のようなものに包んで飲んで、治してもらっていたという記憶があります。大人になって調べてみると、高級風邪薬の中に「牛黄」という成分で入っていることを知りました。昔はこんなものも滋賀県で取れていたんです。

千頭に一頭しか見つからない漢方薬

牛黄(ごおう)が発見される牛の肝臓

牛黄とは、一言で言えば牛の胆石です。「牛黄」と書いて、「ゴオウ」と読みます。
形は、約1~4cmの不規則な球形、あるいは角のとれたサイコロのような形で、赤みがかった黄褐色をしています。割ってみると、木の年輪のような同心円状の層ができており、また口に含むと苦味とほのかな甘味があります。
東洋では、紀元前から現代に至るまで、実に2,000年以上もの間、牛黄は貴重な薬として愛用されてきました。
中国最古の薬物書『神王本草経』には、牛黄は上薬に分類され、飲み続けると元気を増して老化を防ぎ、寿命を延ばすという理由から「不老長寿の薬」または「命を養う薬」であると書かれています。

「近江の牛黄(ごおう)」 近江でとれた「牛黄」が今もこれだけ我が家に残ってます

牛黄は、金より高価な貴重品で、牛1000頭に1頭の割合でしか発見できないとされており、中国では皇帝に献上されておりました。また日本でも、昔は牛を殺した際に牛黄が見つかったら、中央政府に献上するようにと「大宝律令」に記載されています。
現在でも希少価値があり、生薬の研究に用いるにも高価なため、 入手が困難となっています。
そのため、近年では、栄養ドリンク剤などからも牛黄をはずした処方が多くなってきています。

 
 

Pick up Item おすすめ商品

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加

ページトップへ